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ワンニャンコラムCOLUMN

治療法について

【漢方】ペットにも漢方2

ペットにも漢方を上手に使える時代。

漢方をお出しする場合には、一般的な診察の時とは違う方向からペットの身体や症状を分析する必要があります。結果として「飲む漢方」も「塗る漢方」も、これまでのお薬の処方とはちょっと変わった内容になります。
え?どういう事?と思われるかもしれないので、例を挙げて説明してみます。

Q:同じ病気でもワンちゃんや猫ちゃんによって違う漢方を使うって本当ですか?

はい、同じ病気やケガ、同じ症状でも別の漢方になる事があります。

解説:
例えば、皮膚病のひとつ膿皮症。
膿皮症とは皮膚で細菌が増えてしまい、痒みや炎症、脱毛、化膿と言った症状が出る病気です。通常、ステロイド(プレドニゾロン)で痒みを抑え、抗生物質(セファレキシンなど)を数日から1か月ほど続ければ治る事が多いです。でも、治らない子もいますし、再発する子もたくさんいます。このような場合に漢方を使うとしたら・・・

膿皮症という皮膚の症状以外にも、次のような事をお聞きしたり観察したりします。

  • 年齢
  • 体形(痩せているか太っているか)
  • 皮膚のベタつきまたは乾燥
  • 食事内容
  • 食欲
  • 尿や便の状態
  • 悪化する季節
  • 生まれた月

などなど・・・もっとありますけど。

太っていてベタつくタイプの子(痰湿など)と、痩せていて乾燥肌の子(陰虚など)では、全く別の漢方を出す事になるのです。生まれた月や毛色も体質への影響が違うので、特に「塗る漢方」を調合する時には必ず取り入れる大切な項目です。

Q:うちの子、多くの病気を抱えているのに使う漢方の種類は多くないのですね?

はい、それぞれの症状に対して別の漢方を出すわけではありませんので、多くはならない事もあります。

解説:
例えば、胆泥症と尿結石、イボ(皮膚乳頭腫)や脂肪腫、全部あるよ~と言うワンちゃんもいます。
 
それぞれ発症する場所も違うし、症状も異なります。胆泥症に多い症状は食欲不振、嘔吐や下痢。尿結石症は膀胱炎や頻尿の症状を引き起こし、石が多かったり詰まるようだったら手術にもなる病気です。イボや脂肪腫は命には関わらない良性の腫瘍なので、そのまま放置しておいても大丈夫ですが、存在自体は気になります。

西洋医学だとそれぞれについてのお薬や処置、あるいは療法食で、ひとつひとつを治していく事になります。

一方、漢方を処方しようとして体質を見てみると、身体の中の水分や血液の循環が悪くて、一か所で滞る体質。更に身体の内側に熱を持っているタイプと捉える事ができます。
(もちろん全ての子がこのタイプとは限りません。個別での体質診断が必要です。)
と言う事で、違う病名なのに、同じ漢方で全ての症状に対応するという事になります。

「未病を防ぐ」

それから漢方の良さとして、私が特に強調したいのは「未病を防ぐ」役割を持つ事です。
まだ胆泥は胆石になっていないし、尿結石も小さくておしっこと一緒に出てしまう程度だとしたら、漢方ははじめ時なのです。水分や血液の巡りをよくする漢方を飲ませる事で、今の状態からの改善とともに、さらに悪化して病気になるのを防ぐ事が期待できます。
これを「未病を防ぐ」と言います。まだ病気になる前から、今後起こる病気を予想して、そうならないようにしていきます。

長期的な見方をしましょう

体質改善は数日でと言うわけにはいきません。何か月も何年も、遺伝子を考えたら何世代にも渡ってその子の症状を引き起こしている原因にアプローチするわけですから、数か月や数年単位が必要となるかもしれません。それでもやはり、身体の事を考えたらとても大切なアプローチだと思いませんか?

当院で取り扱っている漢方には大きく2種類あります。「飲む漢方」と「塗る漢方」。
これまでのお薬や治療と併用できるものもたくさんありますので、気になる方は是非一度ご相談下さい。

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