

皮膚科
皮膚や耳、手足を痒がる。気づいたら赤かったり、毛が抜けていたり、皮膚の悩みは多いものです。気になる場合には躊躇せずに受診下さい。
往診ではその場で診断がつきづらい事もありますが、診療所には顕微鏡もあり、膿皮症やマラセチア性皮膚炎、毛包虫症のような感染症の診断は早めに可能です。また、アトピー性皮膚炎の場合、時間はかかりますが、漢方やサプリメントを併用しながら一般的な西洋医学のお薬の減量を目指します。セカンドオピニオンとしても是非ご相談ください。

内科
なんだか元気がない、食欲がない、そのような時には気のせいと思わずにご連絡下さい。当院では往診の場合にも、血液検査やエコー検査の機械を車に載せており、動物の性格や状態にもよりますが、可能な限りこれらの検査も行って正確な診断ができるように努力しています。
慢性疾患の場合には定期的な診察を行い、健康状態を確認し内服薬や漢方あるいはサプリメントを処方致します。普段からお話しを伺いペットの様子を見ている事で、ちょっとした変化にも気づけます。気になる事があれば何でもお気軽にお聞かせください。
レントゲンやCTあるいはMRIを用いた検査や、大きな処置が必要と判断した際には、信頼できる動物病院を紹介させて頂きます。

代替補完療法
西洋医学だけではこれ以上よくならない。そんな場合には、代替補完療法を考えます。例えばがんを患った場合、基本的には手術、抗がん剤、放射性治療ですが、これらの治療を進める中で体調が悪くなったり、元気食欲がでなかったりする事も多々あります。
そのような時に、ペット自身のエネルギーバランスを整える漢方や鍼灸を用いたり、ビタミン療法やオゾン療法によって過剰な酸化を抑えたりする事で体力が戻る事があります。また、がんだけでなく慢性肝炎や腎不全のような長期に渡る疾患の場合にも、通常の点滴や内服薬だけでなく補完療法を用いる事で、ペットのQOL向上や飼い主様の不安の軽減に役立つと考えています。
終末期ケア
終末期には何かしてあげたいけど、何をしたらいいのかわからなくてオロオロしてしまうかもしれません。飼い主様が不安を抱えている場合にはご相談下さい。残された大切な時間に何ができるか一緒に考える事で、穏やかに寿命を全うさせてあげる方法が見つかると思います。
未病を防ぐ
代替補完療法ではありませんが、病気にならない身体作りに役立つサプリメントや食事も提案致します。病気になってから良い状態に戻すのは大変なので、日々健康を心がける事はとても大切です。
漢方サプリメント
西洋医学のお薬は患部にピンポイントで効果を発揮するもの、漢方薬は様々な生薬の力によって全身の「気・血・津液」を整えて体質改善を目指すもの。急性疾患や局所的な不調には西洋医学のお薬が強く、慢性疾患や全身の不調には漢方薬が強いと言われています。そのため、通常のお薬だけ、あるいは漢方薬だけというように分けず、その時の症状に合ったお薬をきちんと処方する事が大切と考えています。
当院では動物用に作られた漢方サプリメントを取り扱っております。粒状なので比較的飲ませやすく、全国の動物病院での使用実績が多いのも特徴です。

塗る漢方
漢方薬と同じように「君臣佐使」に基づき方剤された生薬成分の入ったオイルを取り扱っています。その時の症状はもちろんの事、ペットの生まれた月や毛色、性格も考慮してブレンドします。慢性的な不調だけでなく、痛みのケアや不安症など行動異常が気になる時にも、西洋医学のお薬やサプリメントと併せてお勧めしています。香りがよいので飼い主様もリラックスできますし、飲み薬がどうしても難しいというペットの場合にもご相談頂いています。

鍼灸
人と同じように動物にもツボ(経穴)があり、鍼で刺激することができます。主に老齢性の疾患や、神経性の疾患で麻痺がある場合に適用となります。例えば椎間板ヘルニアのような場合には、鍼治療と低周波パルス療法を併用する事で、より動きが活発になる事が期待できます。

また、鍼はほとんど痛くありませんが、それでも敏感なペットは鍼を嫌がる事もあります。その場合にはお灸を用います。お灸はモグサを燃やして肌に当てツボを刺激する方法です。アメリカでもMoxibustion(モキシバッション)と呼ばれ、近年親しまれるようになってきました。中国や日本での長い歴史と経験だけでなく、お灸によってリンパ球が増加する事や関節炎での抗炎症作用が認められるなどのエビデンスも出てきています。ペットには刺激の少ない棒灸を10分程度当てる方法を用いています。

ビタミン点滴(マイヤーズカクテル)
マイヤーズカクテルとは、1950年代にアメリカのジョン・マイヤーズ医師が考えた点滴療法で、30年以上に渡り喘息や慢性疾患、うつ病などを患った人を多く救った事で有名です。マイヤーズ医師が亡くなった後には、アランRゲイビー医師がマイヤーズカクテルとして広め、現在統合医療や自然療法の標準的な治療法となっています。
動物の細胞が正常に活動するために必要なビタミン、ミネラルを組み合わせており、体調改善や健康維持が期待できます。身体への侵襲性がないため、がん、消化器疾患、慢性疾患や皮膚病、老齢ペットの健康維持、アンチエイジングなど様々な状態の時に他の治療と併せて用いる事ができます。
オゾン療法
微量のオゾンには免疫系の穏やかな活性化、抗炎症作用あるいは血液循環の改善作用があると言われています。当院ではオゾン発生器を備えており、生成したオゾンを注腸投与します。
身体への負担がなく、鍼灸治療やマイヤーズカクテルの皮下点滴と組み合わせる事により、相乗効果も期待できます。また、オゾン水やオゾンオイルは抗菌作用を持つため、膿皮症やマラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症などの際に用います。抗菌作用を発揮しながらも、私たちの肌に優しいのも特徴です。

水素療法
オゾン療法や高濃度ビタミンC療法は、身体への負担が少なく、大きな副作用は報告されてはいません。しかし、血管拡張作用や酸化作用を持ち合わせている事から、非常に衰弱したペットや、脾腫または血管腫のあるペットには使えない場合があります。
その時には、身体にとってよりマイルドな水素療法を選択しています。特に当院で取り扱っている水素灸は、10分間皮膚に当てるだけで水素が皮膚から効率よく吸収される事がわかっています。水素灸が適度に温かいため、飼い主様に抱っこされながらペットもリラックスできます。


培養上清による再生医療
メープルファミリー動物病院では、幹細胞の培養液による再生医療をご提供しております
再生医療とは、機能低下や機能障害あるいは機能不全に陥った場合に、その細胞や組織、臓器の再生を目指す医療です。当院ではヒト乳歯歯髄幹細胞培養液による再生医療を提供しています。
なぜペットにも漢方や代替補完医療なのか?
獣医療も人の医療と同じように日々進歩を遂げており、これまで治せなかった病気が治せる時代になってきました。当院でも学会やセミナーに参加し、最先端の獣医療について少しでも多くの情報を得るよう努力をしております。治せる病気は治る事を目指しますし、飼い主様との話し合いの上、高度医療センターのような二次診療病院をご紹介させて頂く事もございます。
しかしながら、未だ多くの疾患において完治が難しい現状のなか、治す事や長生きさせる事だけにこだわると、ペットに辛い思いをさせる場合があるのも事実です。ペットの症状だけでなくその子の体質や性格、そして環境を考慮し、何をしてあげるのが最善なのか、どうしたらQOLを上げられるかに目を向けてみると、最先端の獣医療ばかりが良いとは限らないのです。長年多くのペットを診察しそのご家族との話し合いを大切にしてきた経験から、漢方や鍼灸、その他の代替補完医療を取り入れるのも選択肢のひとつになりました。
これまでに漢方や代替補完医療でケアした子たちは多くいますが、具体的にどのような感じなのか想像がつかないかもしれませんので、症例を数件紹介させて頂きます。どの子もご家族とってはもちろん、厚かましいようですが私たちにとっても大変可愛くかけがえのない存在です。少しでも参考になれば幸いです。

猫ちゃん16歳、リンパ腫、腎不全 (往診)
[主訴] | 専門医にて抗がん剤治療を行っていたが、アナフィラキシーショックを起こしたのでもう抗がん剤はやりたくない。他の方法で今の状態を維持したい。 |
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[治療内容と経過] | 最初の1か月は1週間に一度、ビタミン点滴(マイヤーズカクテル)とオゾン療法を行った。体調が良かったのでその後は2週間に一度同じ内容を欠かさず2年に渡って続け、18歳で亡くなるまでリンパ腫の再発もなく過ごせた。 |
ラブラドールレトリバーちゃん14歳、皮膚病、腎不全(往診)
[主訴] | 他にかかりつけ医があったが、皮膚の痒みや健康相談も含め14歳の頃から2週間に1度のペースで往診にて健康チェックと漢方の処方を行っていた。ある時膀胱炎でかかりつけ医を受診し治療を開始、その後元気食欲がなく血液検査の結果腎臓の数値が高い事がわかった。かかりつけ医ではあと3か月くらいと言われたとの事。 |
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[治療内容と経過] | 連日点滴を往診で行ったところ食欲が出たため、漢方やサプリメント、CBDオイルなどを飲ませながら、週に2回ほどの頻度でビタミン点滴(マイヤーズカクテル)を行った。腎臓によいと言われている療法食には頼らず、美味しいものをたくさん食べて10か月ほど穏やかに過ごした。17歳の誕生日を迎えた後に亡くなったが、血液検査の結果から腎不全の悪化ではなかったため、天寿を全うしたと考えられる。 |
トイプードルちゃん 11歳、扁平上皮癌(診療所)
[主訴] | 他の病院で気管支炎と言われて処方された薬を飲ませていたが良くならず当院を受診。よく観察すると咽頭部に比較的大きな腫瘤があったため、手術可能な病院を紹介した。腫瘍の切除を行いその後岐阜大学動物病院で放射線治療も行った。飼い主様のご希望でそれ以上の積極的治療はせず、当院での緩和ケアのみにした。 |
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[治療内容と経過] | 腹腔内リンパ節や脾臓、肝臓への転移は避けられなかったものの、当院でビタミン点滴やオゾン療法、水素療法、丸山ワクチン、鍼灸、漢方の投薬、CBDオイルその他サプリメントなどでQOL維持をサポートした。亡くなった当日まで自力で歩けてご飯を食べる事もできた。腫瘍発覚から約半年間ではあったが、手術以外は入院せず、自宅で穏やかに過ごす時間を大切にできた。 |
M.ダックスフントちゃん 9歳、椎間板ヘルニア(往診)
[主訴] | 毎年冬になると椎間板ヘルニアの症状が出るが、手術を行うほどではないため、鍼灸と漢方によるサポートをご希望された。 |
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[治療内容と経過] | 治療開始直後2回ほどは鍼灸と水素灸を行ったが、その後良好な経過だったため、漢方のみ続けてもらっている。漢方を飲み始めて2年になるが、椎間板ヘルニアの症状は一度も出ていない。年間を通して1か月に1度往診しているので、その時の様子で漢方内容を変えている。例えば梅雨時にはイライラしがちなため、それに合わせた漢方により気持ちの面でも改善が見られる。また、身体の健康状態を反映する肉球も、治療前はかさかさで色も悪かったが数か月でぷくぷくで真っ黒の良好な状態になった。 |
チワワちゃん 17歳、脳腫瘍疑い(通院)
[主訴] | かかりつけ医にて脳腫瘍疑いと診断された。気になる症状としては斜頸と歩行困難。以前より僧帽弁閉鎖不全症、てんかん発作、クッシング症候群の持病もある。斜頸や歩行困難といった脳腫瘍からの症状緩和のため鍼灸をご希望されて通院。 |
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[治療内容と経過] | 半年ほどは2週間に一度鍼灸と水素療法を行い、それとともに漢方とCBDオイルを飲ませてもらっている。17歳の誕生日も迎えられ、比較的状態よく過ごしているため、現在は鍼灸と水素灸を1か月に1度に減らして通院されている。 |